2020年新型コロナ感染症流行下の高齢者実態調査

 JAGESに参加している11市町と共同して、2020年度に新型コロナウイルスに関して調査を実施致しました。その調査結果の概要を以下にまとめました。

2020年新型コロナ感染症流行下の高齢者実態調査による11自治体の分析結果概要_20210928.pdf

※日本医療研究開発機構(AMED)長寿科学研究開発事業(JP20dk0110034)

「地域づくりによる介護予防の推進のための研究」の一環として実施した調査です。


NHK「クローズアップ現代+」で紹介されました
<番組情報>
2021年9月29日(水)放送
“孤立という病”
コロナ禍の健康被害

 

新型コロナ感染症対策

 新型コロナウイルス感染症が流行し、日本では史上初の緊急事態宣言が発令されました。外出自粛が要請され、人との接触を控える期間の長期化が見込まれています。

 そんな中、高齢者の外出や交流が減ることによる健康状態の悪化が心配されています。外出や交流・社会参加の場は高齢者の要介護、認知機能低下、死亡等のリスクを減少し、地域全体の高齢者の健康を向上するのに必要な機会といえます。

 そこで、感染リスクを抑えた活動や、インターネットを活用したコミュニケーションを以下にまとめましたので、ご覧ください。


アフターコロナ時代の新しい都市型介護予防モデル:オンライン「通いの場」導入の試み
https://www.jages.net/project/municipalities/matsudo/


 

 感染症流行期・収束期においても、地域づくり・介護予防の取り組みを継続するには?

「通いの場」を地域に増やし、外出や運動、交流の機会を作り出すことによって、健康増進・介護予防を図るとともに、コミュニティの(再)構築を促す取り組みが全国で展開されている。しかし、COVID-19感染拡大により、その多くが活動停止を余儀なくされ、高齢者の心身の健康状態への影響が危惧されている。
本書では、日本老年学的評価研究(JAGES)の「通いの場」ワーキンググループと全国の市町村職員・住民をはじめとするさまざまな当事者による取り組み成果をもとに、感染症流行期・収束期においても、地域のつながりを保ち、介護予防事業を進めるヒントを紹介する。

第1章 「通いの場」の現状
第2章 これからの「通いの場」
第3章 政策動向と「通いの場」
第4章 多分野による連携
第5章 プロセスや効果の評価
◆現場によくある悩みと対処事例/各事例のポイント



ポストコロナ時代の「通いの場」 発売日:2021/12/16
近藤 克則 (編集) 単行本
日本看護協会出版会 定価2,640円
https://www.jnapc.co.jp/products/detail/3928

 

 健康二次被害防止コンソーシアム標語『コロナフレイル予防の た・ち・つ・て・と』 

 新型コロナウイルスによる健康二次被害防止啓発・公式サイトより

 標語「コロナフレイル防止の“た・ち・つ・て・と”」を作成しました

・新リーフレットコロナフレイル予防の「た・ち・つ・て・と」ができました
下記URLより必要事項をご入力いただいた方に、リーフレットのPDFをお送りいたします

 

 監修:近藤克則先生「人との関り」をテーマとした、新しい啓蒙リーフレットが完成いたしました。


  • 新リーフレット『人との関わりを増やして 体も心も健康に』ができました
    下記URLより必要事項をご入力いただいた方に、リーフレットのPDFをお送りいたします
 

 

「アジア健康長寿イノベーション賞2021 新型コロナ対応特別賞」を受賞しました!

2021.7.30 
「松戸プロジェクト・コンソーシアム」が「アジア健康長寿イノベーション賞2021 新型コロナ対応特別賞」を受賞しました!

   

松戸プロジェクト・コンソーシアム千葉大学、松戸市、住民ボランティア、株式会社Biz Brew、一般社団法人日本元気シニア総研はれの日サロン、日本老年学的評価研究機構)の「アフターコロナ時代の新たな都市型介護予防モデル:コレクティブ・インパクトによる、オンライン「通いの場」導入の試み」が「アジア健康長寿イノベーション賞2021 新型コロナ対応特別賞」を受賞しました。

 

「アジア健康長寿イノベーション賞」は、日本政府によるアジア健康構想の一環として、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)および日本国際交流センター(JCIE)が2020年に創設した表彰事業で、健康長寿の達成、高齢者ケアの向上に資する取り組みをアジア各国から募集し表彰するものです。本年は特に、コロナ禍が高齢者に与えている影響の大きさに鑑み、新型コロナ対応特別賞が設けられました。(日本国際交流センター(JCIE)公式サイト:http://www.jcie.or.jp/japan/2021/07/30/post-13745/)

 

受賞や当プロジェクトの詳細は、下記の関連ホームページをご参照ください。

 

関連ホームページ

Asia Health and Wellbeing InitiativeAHWIN)公式サイト(https://www.ahwin.org/
・日本国際交流センター(JCIE)公式サイト(http://www.jcie.or.jp/japan/

 


 

 新型コロナウイルス感染症流行下での高齢者の生活への示唆:JAGES研究レビュー

  新型コロナウイルス感染症が流行する中、外出を控える日々が続いています。
一方で、これまでのJAGESの研究から、高齢者が閉じこもり人との交流が減ることで健康への影響があることも分かっています。
これまでのJAGESの研究から外出や交流、社会参加がどれくらい健康にいいのか、それらを踏まえ、現在のような状況ではどうすればよいのかをまとめました。


 

 厚生労働省収集事例

本事例集は、子育て・介護予防・見守りといった様々な取組の実例であり、取組をなされている団体の情報を掲載することにより、取組内容について支援者間での照会が可能となっています。
支援者の皆様や自治体の担当者の方々が、厚生労働省よりお知らせしている留意事項等も参考に、感染防止に配慮しつつ、本事例集を活用いただきながら、地域の実情に応じたつながり支援等に関する取組を進めていただければと思います。

 

スポーツ庁新型コロナウイルス感染対策

新型コロナウイルス感染症の拡大防止は、緊急事態宣言期の自粛要請を経て「新しい生活様式」として中長期に渡り感染症対策と向き合う中で、運動不足から身体的及び精神的な健康を脅かす健康二次被害も懸念されます。
子どもの健全な発育、テレワークの推進に伴う運動量の低下、特に、中高年齢者については、生活習慣病等の発症や体力・生活機能の低下(骨や筋肉等運動器の衰え、認知症等)をきたすリスクが高まります。
このため、意識的に運動・スポーツに取り組んでもらうことは、健康の保持だけでなく、ストレス解消、免疫力向上で感染を回避する事にも有効です。
安全・安心に運動・スポーツに取り組むポイント、手軽な運動事例などをご紹介します。
 

 高齢者への影響

株式会社 PR TIMESプレスリリース配信より
オムロンヘルスケア株式会社
65歳以上の高齢者1000人に聞いた”withコロナ”実態調査
新型コロナウイルス感染症の感染拡大前より、50%以上が運動量減少を実感全国の緊急事態宣言解除から一ヶ月、日常生活の変化により生じた不調のトップ3は「膝の痛み」「腰痛」「目の疲れ」 (2020.7.13配信)


 

市町村の対策

 市町村では、高齢者のフレイル予防・介護予防・認知症予防のためにあらゆる事業を実施していたところですが、多くの通いの場や高齢者のコミュニケーションの場が休止に追い込まれました。
 これに対し、市町村では感染リスクを抑えた活動や動画配信サイトを利用した誰でもできる運動を周知するなど、対策を講じました。

市町村が実際に行った事例を紹介します。

自治体名

テーマ

キーワード

愛知県東栄町

外出による買い物難民とメンタル不調を防ぐ取り組み

買い物難民、メンタル不調、困りごと相談、相談場所の明確化

鳥取県智頭町

テレビ電話周知による自宅で行う健康維持・介護予防

自宅での介護予防、健康増進、高齢者の安否確認、告知端末(テレビ電話)

大分県竹田市

生活不活発病予防の普及啓発

生活不活発病予防、高齢者への周知、必要性の説明、誰でも簡単にできる運動

茨城県大洗町自粛生活中の不安軽減フレイル予防、感染予防、不安軽減
千葉県市原市 筋力低下予防と通いの場再開支援を実施 筋力低下予防、介護予防、通いの場再開、感染予防対策下での介護予防、分散開催、通いの場、厚生労働省ガイドライン 
千葉県松戸市誰でもできる運動を多くの人に周知フレイル予防、健康状態確認、安否確認、各種広報媒体の活用
兵庫県神戸市高齢者向け介護予防体操のテレビ放送テレビ放送、サンテレビ、DVD貸し出し、動画配信サイト、自宅でできる運動、ラジオ、SNS
奈良県天理市自宅でできる運動や認知症予防の促進フレイル予防、認知症予防、動画配信
奈良県生駒市・自宅でできる運動の促進
・コロナ禍における生活のコツや家族関係の傾聴
声掛け、青空教室、体操、コミュニケーション、セルフケアチェックシートの作成、情報の活用、家族関係、詐欺防止
熊本県御船町外出自粛中高齢者のリスクに対する普及啓発訪問活動、筋トレ、自宅でできる体操、フレイル対策
東京都町田市ホームタウンチームと協働したフレイル予防の啓発感染症予防の啓発、フレイル予防、生活不活発の防止、FC町田ゼルビア、動画

 


 

国際機関による報告

◯国連
そんな中、国連が出した新型コロナに関する報告書(p3,p9)でも、高齢者が孤立することのリスクやデジタル機器を用いて高齢者の孤立を防ぐ必要があることが指摘されています。
https://unsdg.un.org/sites/default/files/2020-05/Policy-Brief-The-Impact-of-COVID-19-on-Older-Persons.pdf
 

感染リスクを抑えた活動

 新型コロナウイルスの流行で外出自粛が要請されており、人が集まっての運動や介護予防出張教室等も活動できなくなっています。

 そんな中、感染リスクを抑えながら、介護予防活動が続けている事例をご紹介します。

①   京都新聞WEBより
健康体操、間隔空けて屋外で コロナ対策しながらリフレッシュ(2020.4.3 9:00配信)
※2メートル以内に近づいて話し込んでしまう事がないよう、注意が必要です

②   一般社団法人日本スポーツ栄養協会 -公式情報サイト-より
新型コロナウイルスのパンデミック中でも安全に運動する方法 米国心臓協会が提言(2020.3.27配信)
※他人との距離を保っている限り、屋外での運動も推奨されています。 散歩、ジョギング、サイクリング等々

③   YAHOO!JAPANニュースより
“コロナ防止”の青空フィットネスが話題 動画は90万再生超「クールなアイデア」
新型コロナ防止で隔離されている住民がベランダでフィットネス楽しむ(2020.3.16 20:33配信)
※スペインで行われた一風変わった“コロナ防止フィットネス”

④ 多古町HPより
多古町防災行政無線でラジオ体操第一を放送し、健康維持。(2020.4.15配信)
※毎日午前10時30分に多古町防災行政無線でラジオ体操を放送し、健康維持のきっかけに。

⑤ 多摩市HPより
コロナに負けない!家でもできる元気アップ体操!(2020.4.30配信)
※病気に負けない体力、免疫力を保つため自宅で簡単にできる体操です。

⑥ 米子市HPより
コロナに負けない!おうちで簡単 フレイル予防体操(2020.3.31配信)
※運動不足や筋力低下を予防すべく、自宅で簡単にできる運動動画です。

⑦ 松戸市HPより
「手あみの里」(梨香台)マスク作り(2020.4.16配信)
※「手あみの里」は梨香台団地内にある通いの場です。昨年は移動交番から依頼され交通安全帽子を作り松戸警察に寄贈するなど、手作業による地域貢献に結びついた活動を行っています。

⑧ 武豊町では電話による支援等で、高齢者の見守りを実施
新型コロナウイルス感染症に伴い、介護予防サロンの実施を見合わせていますが、感染拡大防止と高齢者支援のため、電話による見守りを実施しています。
※在宅の一人暮らし高齢者に対する見守り等の取り組みの実施について(厚生労働省HPより)

⑨ シニア食堂Facebookより
シニア食堂の取り組み(2020.5.9配信)
https://www.facebook.com/シニア食堂協会-2223104464574125
  • 「ほっと電話」によるおしゃべり
    シニアボランテイアの協力により、手分けして参加者に荷電し、近況・体調変化・困りごと・安否確認を行っています。
    また「おしゃべり」も大きな役割であり、同世代のボランティアからの電話はとても喜ばれ、「嬉しかった」「久しぶりのおしゃべりではしゃいじゃった」との声が届いています。
  • 「あんしん電話」による自動安否確認
    「一般社団法人安心地域見守りネット」の協力により、同法人の「あんしん電話システム」を期間限定で無料提供してもらいました。これにより、完全独居12人の高齢者の安否確認を毎日行うことが可能です。
    一般社団法人あんしん地域見守りネット(外部リンク)
  • 毎月のお便り
    デジタル環境のない高齢者にとって、文字情報はとても喜ばれます。
    中にはお手紙で返事をもらい、血の通った交流になることも。

⑩ 毎日新聞より
新型コロナ名取の災害公営住宅「3密」避け住民交流を支援団体、ベランダ体操や電話相談で孤立防止/宮城(2020.6.18配信)
※お茶会や体操教室の代わりに、災害公営住宅の住民がベランダに出て運動をしました。

⑪ 日本経済新聞より
「自粛で老化」防げ コロナ化でリハビリ・認知症対策(22020.12.5配信)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO67050640V01C20A2MM0000
※新型コロナウイルスの感染拡大が続き自宅にこもることが増える中、全国で「廊下を防ぐためにユニークな取り組みがされています。買い物とリハビリを組み合わせたり、遠隔操作ロボットを使って認知機能の低下を防いだりとアイデアは様々。

 

 インターネットを活用したコミュニケーション

 外出自粛が求められている中、社会参加の場が減り、身体を動かさず健康リスクの悪化が懸念されています。

 そんな中、インターネットを利用したコミュニケーションや動画サイトを参考にした室内でできる運動などが公開されていますのでご紹介いたします。

① Impress Watchより
Switch「ジャストダンス2020」、有名楽曲500曲以上を楽しめるサブスクリプションサービスを1カ月間無料化(2020.4.8 17:28配信)
※本作を持っていない人でも体を動かして楽しめる多くのプレイリストがYouTubeに公開されました。

② シニア食堂Facebookより
シニア食堂オンライン(2020.5.9配信)
Zoomを使ったオンラインでの交流会を実施しています。
参加希望者にはマンツーマンで導入・練習をサポート。仲間の顔を見て情報交換したり、みんなでラジオ体操をしたり、オンラインでのミニ講座を実施しています。

③ つながりを切らない情報・交流ネットワークHPより(https://www.t-net.online
「新しいつながり方」を収集・提供し、WEBを活用した交流等に取り組みます(2020.5.20閲覧)
※感染防止のための対策を講じつつ、各地で創意工夫のなかから『新しいつながり方』の実践が生まれています。こうした全国の試みから、現場で役立つ情報を収集・提供し、WEBを活用した交流等に取り組みます。

④ 介護保険最新情報Vol.834より(2020.5.15掲載)
高齢者施設等におけるオンライでの面会の実施について
※オンライン面会を行う場合の留意点や、実際に利用を行っている事例についてまとめられています。

⑤ 外出できないみんなを元気に! シニア支援型オンラインサロン開設(クラウドファンディング)
シニアが簡単に使えるオンラインサロン(2020.5.29閲覧)
※クラウドファンディングを通して、シニアが簡単に使えるオンラインサロンを開設し、孤立を防ぐセーフティネットを設立。


 

 高齢者もインターネットを利用し、活用している

 インターネットやSNSなどは若年層が利用しているイメージがありますが、実は多くの高齢者にとってもインターネットは身近なものとなっています。
外出自粛であっても、インターネットというツールを使えば多くの人に情報を届けることができます。

◯総務省「令和元年通信利用動向調査」より(2021.4.15閲覧)
個人のインターネット利用率は約9割にまで上昇。

図1.インターネット利用率の推移

総務省「令和元年通信利用動向調査」:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html

◯総務省「令和元年通信利用動向調査」より(2021.4.15閲覧)
60歳以上のインターネット利用率が大きく上昇し、前年と比べて世代間の格差が縮小している。

図2.インターネットで利用した機能・サービス

※総務省「令和元年通信利用動向調査」:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html

◯総務省「通信利用動向調査」より(2021.4.15閲覧)
「ソーシャルネットワーキング利用」ではすべての年齢層で利用率が上昇しており、特に80歳以上では25.9%上昇している。

図3.年齢階層別ソーシャル・ネットワーキングサービスの利用状況
※総務省「令和元年度通信利用動向調査」:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html別ウィンドウで開きます


◯令和元年通信利用動向調査より(2021.4.15閲覧)

図4.年齢段階別インターネット利用機器の状況(個人)

年齢段階別インターネット利用機器の状況(個人)
※総務省「令和元年通信利用動向調査」:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html別ウィンドウで開きます

◯モバイル社会研究所より
“新しい物好き”シニアの7割はスマホを所有している傾向(2020.2.5配信)

◯ モバイル社会研究所より
70代のスマートフォン比率5割突破(2019.6.12配信)

◯ モバイル社会研究所より
シニアの買い物事情2割強がネットショッピング・宅配サービスを利用(2017.5.29配信)

 
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