コンセプト

  1. ポピュレーション戦略: 個人でなく社会環境への介入. 具体的には「サロン」の開設
  2. 町の中央の数カ所でなく,町のあちこちに多拠点(サロン)を整備 : 高齢者でも徒歩で,気軽に参加できるように
  3. 専門職でなくボランティアによる運営: 多拠点の運営には多くの人手が必要
  4. 自治体による支援:公共施設の提供,財政支援,町の広報・回覧板での宣伝,開所式で町長挨拶など.
  5. 健康体操だけでない楽しい多彩なプログラム
 

介入プログラム理論

個人レベルでは,高齢者の健康長寿を,コミュニティレベルでは,ソーシャル・キャピタル豊かな安心安全なコミュニティをめざす.身体活動量や外出機会の増加,心理・認知的には楽しみの増加,社会的には社会的サポート,コミュニティにおけるボランティア活動の促進などを通じて,身体・心理認知,個人とコミュニティの社会的機能の向上を通じて,実現することを期待する.





 
以下の文献リストは,武豊プロジェクトの開発コンセプト,その根拠,開発経過,中間アウトカム評価などに関する論文などを抜粋して再掲したものである. 
 

プロジェクト概要や中間アウトカム評価に関するもの

  1. 平井寛,近藤克則: 【医療・介護政策に関する実証的検証】 住民ボランティア運営型地域サロンによる介護予防事業のプロジェクト評価." 社会保障研究 46(3): 249-263.2010.
  2. 竹田徳則:地域介入による介護予防効果検証 : 武豊プロジェクト.総合リハビリテーション 42:623-629, 2014.
  3. 大浦智子,竹田徳則,近藤克則,他:「憩いのサロン」参加者の健康情報源と情報の授受 : サロンは情報の授受の場になっているか? .保健師ジャーナル 69:712-719, 2013.
  4. 木村大介,竹田徳則,砂原信行,他:運営ボランティアとして介護予防事業に参加している地域在住高齢者の認知機能と社会活動の2年間の変化.日本認知症ケア学会誌 12:429-439, 2013. 
  5. 小林美紀:楽しく・無理なく・介護予防─地域と協働で進める「憩いのサロン」.保健師ジャーナル 69:386-392,2013.
  6. 竹田徳則:認知症の一次予防に着目した取り組みと可能性.日本認知症ケア学会誌11:629-634, 2012. 
  7. 木村大介,竹田徳則,太田崇:地域在住高齢者の認知機能低下に関するスクリーニング検査項目の検討.作業療法30:626-630, 2011. 
  8. 木村大介,竹田徳則,太田崇:「憩いのサロン」事業参加高齢者における軽度認知機能障害(MCI)該当者の割合.作業療法ジャーナル 45:1087-1091, 2011.
  9. 近藤克則・平井寛・竹田徳則・市田行信・相田潤:ソーシャル・キャピタルと健康:行動計量学37(1):27-37,2010
  10. 竹田徳則・近藤克則・平井寛:心理社会的因子に着目した認知症予防のための介入研究ーポピュレーション戦略に基づく介入プログラム理論と中間アウトカム評価ー.作業療法28(2):178-186,2009
  11. 平井寛・近藤克則・竹田徳則:敬老堂をモデルとしたポピュレーションアプローチの試みー武豊町介護予防モデル 事業「武豊町憩いのサロン」-.日本福祉大学 社会福祉論集特集号:99-107,2008
  12. 近藤克則・渡辺邦夫:介護予防における健康格差とポピュレーション・アプローチ.OTジャーナル:42(12):1207- 1215, 2008
  13. 平井寛:高齢者サロン事業参加者の個人レベルのソーシャル・キャピタル指標の変化.農村計画学会誌28特別号:201-206,2010.
  14. 平井寛,近藤克則:住民ボランティア運営型地域サロンによる介護予防事業のプロジェクト評価.季刊社会保障研究46(3):(印刷中),2010.
  15. 竹田徳則:介護予防,認知症.作業療法ジャーナル 42:665-669,2008.
  16. 竹田徳則:ポピュレーション戦略による認知症予防.認知症ケア事例ジャーナル1:437-444,2009.
 

開発経過に関するもの

  1. 平井寛・近藤克則:第7章2節 介護予防プログラムの開発と評価ー「閉じこもり」予防事業武豊モデル.二木立(代表編者)福祉社会開発学 理論・政策・実際:174-182,2008
  2. 平井寛:「介護予防におけるポピュレーションアプローチの試み―武豊町における地域サロン事業の計画と実施(第1回 武豊町プロジェクトの概要)」,地域リハビリテーション 4(1): 84‐87,2009
  3. 平井寛:「介護予防におけるポピュレーションアプローチの試み―武豊町における地域サロン事業の計画と実施(第2回 計画書と事業計画・準備組織ができるまで)」,地域リハビリテーション(2): 172‐176,20094. 
  4. 平井寛:「介護予防におけるポピュレーションアプローチの試み―武豊町における地域サロン事業の計画と実施(第3回 住民との協働の始まり)」,地域リハビリテーション 4(3): 264‐268,2009
  5. 平井寛:「介護予防におけるポピュレーションアプローチの試み―武豊町における地域サロン事業の計画と実施(第4回 事業の具体化に向けた住民ボランティアによる協議)」,地域リハビリテーション 4(4): 348‐352,2009
  6. 平井寛:「介護予防におけるポピュレーションアプローチの試み―武豊町における地域サロン事業の計画と実施(第5回 武豊町サロン事業の効果評価と最近の事業の動向)」,地域リハビリテーション 4(5): 428‐431,2009
  7. 平井寛:「介護予防におけるポピュレーションアプローチの試み―武豊町における地域サロン事業の計画と実施(第6回 武豊町プロジェクトのこれまでを振り返って)」,地域リハビリテーション 4(6): 514‐517,2009
  8. 平井寛:高齢者の社会参加・交流促進の取り組み:協働による新しい地域ケア.作業療法ジャーナル43(12):1371-1376,2009.
 

ソーシャル・キャピタルが健康に保護的な関連があることなどを実証・紹介した論文

  1. 近藤克則・平井寛・竹田徳則・市田行信・相田潤:ソーシャル・キャピタルと健康,行動計量学37(1):27-37,2010
  2. 埴淵知哉・近藤克則・村田陽平・平井寛:「健康な町」の条件ー場所に着目した健康行動と社会関係資本の分析,行動計量学37(1):53-67,2010
  3. 竹田徳則,近藤克則,平井寛:地域在住高齢者における認知症を伴う要介護認定の心理社会的危険因子 -AGESプロジェクト3年間のコホート研究.日本公衆衛生雑誌57(12):1054-1065,2010,12
  4. Jun Aida, Ph.D., M.P.H., D.D.S., Tomoya Hanibuchi, Miyo Nakade,Hiroshi Hirai, Ken Osaka, Katsunori Kondo: The different effects of vertical social capital and horizontal social capital on dental status : A multilevel analysis. Social Science & Medicine 69(4):512-518,2009
  5. Yukinobu Ichida, Katsunori Kondo, Hiroshi Hirai, Tomoya Hanibuchi, Goshu Yoshikawa, Chiyoe Murata : Social capital, income inequality and self-rated health in Chita peninsula, Japan: a multilevel analysis of older people in 25 communities. Social Science & Medicine 69(4):489-499,2009
  6. 埴淵知哉,村田陽平,市田行信,平井寛,近藤克則:保健師によるソーシャルキャピタルの地区評価,日本公衆衛生雑誌55(10):716-723,2008
  7. 市田行信・吉川郷主・平井寛・近藤克則・小林愼太郎:マルチレベル分析による高齢者の健康とソーシャルキャピタルに関する研究.-知多半島28校区に居住する高齢者9,248人のデータからー.農村計画論文集7:277-282,2005
 

距離が遠いと施設利用が減ってしまうことを実証した研究

  1. 平井寛・近藤克則:高齢者の町施設利用の関連要因分析 介護予防事業参加促進にむけた基礎的研究.日本公衆衛生雑誌55(1):37-44,2008
 

社会参加や趣味などが健康に良い(社会的孤立や閉じこもり,無趣味が健康に良くない)ことを示した研究


  1. 竹田徳則,近藤克則,平井寛:地域在住高齢者における認知症を伴う要介護認定の心理社会的危険因子 -AGESプロジェクト3年間のコホート研究.日本公衆衛生雑誌57(12):1054-1065,2010,12
  2. 平井寛,近藤克則,尾島俊之,村田千代栄.地域在住高齢者の要介護認定のリスク要因の検討-AGES プロジェクト3年間の追跡研究-.日本公衆衛生雑誌56(8):501-512,2009
  3. 竹田徳則・近藤克則・平井寛・村田千代栄::地域在住高齢者の認知症発症と心理・社会的側面との関連,作業療法26(1):55- 65,2007 訂正記事 作業療法27(2):212,2008に掲載
  4. 平井寛・近藤克則:高齢者の「閉じこもり」に関する文献学的研究ー研究動向と定義・コホート研究の検討.日本公衆衛生雑誌,54(5):293-303,2007
  5. 吉井清子,近藤克則ほか:地域在住高齢者の社会関係の特徴とその後2年間の要介護状態発生との関連性.日本公衛誌52(6):456-467,2005
  6. 竹田徳則, 近藤克則, 吉井清子, et al.: 居宅高齢者の趣味生きがい 作業療法士による介護予防への手がかりとして. 総合リハビリテーション 33: 469-476, 2005
 

1つの参考モデルとした韓国の敬老堂についての研究

  1. 斎藤嘉孝・近藤克則・平井寛・秦基南:韓国の敬老堂におけるソーシャルキャピタルと健康.公衆衛生71(10):850-853,2007
  2. 斎藤嘉孝・近藤克則・平井寛・市田信行:韓国における高齢者向け地域福祉施策ー「敬老堂」からの示唆ー.海外社会保障研究Summer2007 159:293-303,2007
 

操作変数法を用いた健康の改善効果の検証

<操作変数法とは> 
 サロン参加の効果を明らかにするには,参加群と非参加群の 2 群間で介入前後 2 時点のデータを取って,そ の変化を比較することが必要である.ただし単純に,参加者と非参加者を比べた場合,サロン参加者には社交性 が高かったり健康状態が良かったりする人が多いなど参加者と非参加者の背景要因が異なることが多く,さらに そのような参加者に多い特徴が健康にも影響している可能性がある.そのため,2 群間に介入前後で差が見られ ても,それが介入による「真の差」なのか,介入前の状態の違いによる「見かけ上の差」なのかを区別すること が厳密にはできない.
 真の効果を検証するためには,2 群間で背景要因が同じであることが重要である.実験的 な研究では,サイコロを振って,たまたま偶数が出たら介入群,奇数が出たら対照群に割り当てるなどの操作を して,無作為に2 群に分けることで,背景要因がほとんど同じ状態をつくって比較する方法(無作為化対照比較 試験)で,厳密な効果評価を行う.しかし,本研究のような地域介入研究ではこの方法が行えない. そこで,無作為に2 群に分けたのと同じ状況を擬似的に作れる操作変数を探し出して検証するのが操作変数法 である.

8か月後の主観的健康観の改善
 Yukinobu Ichida,HiroshiHirai,Katsunori Kondo,Ichiro Kawachi,Tokunori Takeda, et al: Does social participation improve self-rated health in the older population?A quasi-experimental intervention study.Social Science & Medicine:94, 83-90.2013.
日本語での解説(プレスリリース) → http://cws.umin.jp/press-releases/043.pdf

5年間の要介護認定率の抑制効果
 Hikichi, H., Kondo, N., Kondo, K., Aida, J., Takeda, T., & Kawachi, I:Effect of community intervention program promoting social interactions on functional disability prevention for older adults: propensity score matching and instrumental variable analyses, JAGES Taketoyo study. Journal of Epidemiology and Community Health; JECH Online First, published on 17 April 2015 as10.1136/jech-2014-205345. (doi: 10.1136/jech-2014-205345)
日本語での解説(プレスリリース) → 高齢者が交流を持つ「コミュニティ・サロン」をまちに設置で要介護認定率が半減